【ざっくり試算】最高級夜行バス「マイ・フローラ」は儲かっているのか?



競合はファーストクラス

画像は海部観光さんのサイトよりお借りしました。

日経トレンディネットの記事より

「若い人でないと無理」を克服 わずか12席の夜行バス徳島-東京間を結ぶ「マイ・フローラ」2016年04月22日

私の周りでもSNSで非常に盛り上がっています。
「競合は飛行機のファーストクラス」という話も出ていて流石だなと。

実際に乗車された方の記事もありますね。良い感じ。
海部観光のマイフローラで徳島へ わずか12席の豪華個室風の寝台特急バスを体験!

いつか乗ってみたいなと思っていたら、
「席数が少なすぎて継続が心配」というコメントを見つけまして、
確かに日経トレンディネットの記事では採算度外視でとかいてありますが。

「お客さまの目的は到着後の活動にある。移動の間はくつろいでいただきたい」。打山会長のそんな思いを形にしたバスだ。当初18席の計画だったが、打山さんがなかなか満足せず、16席、12席と減っていき、採算度外視で製作したのだという。

職業柄ついついビジネスモデルが気になってしまう私。
1台のバスで定員12人って、果たして採算が取れているのだろうか?と
非常に気になったのでざっくり見積もりしてみることにしました。

ざっくり試算スタート!

※※下記の試算は、筆者がインターネットで得られる情報を元に勝手に妄想をしているだけの内容です。はっきりした裏付けはありませんので、あくまでも頭の体操、エッセイとしてお楽しみください。※※

【前提条件】
・徳島から東京までの片道にかかるコスト
・人件費は片道乗車で1万円を2名として原価に折り込む

【支出の部】
ガソリン 250リットル →25,000円(約640km、燃費2.5km/L強、軽油100円/Lで計算)
高速代 → 21,890万円(大型、東京ー徳島 ETC深夜割引料金)
運転手2名片道 →  20,000円(10,000円×2名)
アメニティ類 → 6,000円(1名500円×12名)
その他諸経費 → 7,110円(端数合わせも兼ねて)
支出合計=80,000

【収入の部】
13,700×12×0.9=147,960(WEB割引料金×12席×乗車率9割)
売上合計=147,960

【合計】
支出合計=80,000
売上合計=147,960
粗利=67,968

【月間粗利】
稼動日 月25日と設定(実際はもっと稼働してそう)
3,398,400円(67,968×2(往復)×25)

バスの料金が3000〜4000万と仮定して、今回は特注内装、全然予想がつかないのですが

仮に総額5,000万円バスにコストが掛かっていたとして、
だいたい1年3ヶ月くらいでペイできる計算になります。
車両代は非常に大きいのでリースやローンなどの契約になっていそうですが、
これなら比較的早い段階で利益を出していくことができそうです。

閑散期はマイ・フローラも格安バスも売上は変わらないが…

今回の事例の場合、コスト計算をしなかったとしても
通常の夜行バスとの売上比較は可能です。

大型夜行バスの4列シートの場合、
36人、6,000円で乗車率8割の場合、
売上は172,800円。
乗車率が6割だったら売上は129,600円になります。

かかるコストはマイ・フローラのほうが高いと仮定すると、
閑散期は通常の夜行バスと比較的いい勝負をしそうです。

しかし、ハイシーズンの価格は4列シートも高い!
平気で1万円を超えてくることもあるなか、
マイ・フローラはGWでも14,600円。どれだけ良心的なんだ…。
こうなると、ハイシーズンは4列シートの方が儲かるようです。

会社を維持するにはバス代以外にも莫大なコストが掛かります。
営業費に広告宣伝費、安全の為の投資も不可欠です。
そう考えると、常に閑散期程度の利益しか生み出せていないという意味では
マイ・フローラは儲かっていないと言ってしまうこともできそうです。

しかしながら、単純な利益では計れない価値が
マイ・フローラにはあると考えれらます。
ハイエンドのサービスを提供できる会社ということで
社内的にも、社外的にも誇りと信用を持つことができます。
また、こうして記事になってWEB上を情報が回ったりと
広告宣伝費を極力抑えたPRにも成功しています。
その努力の結果が「搭乗率9割」という驚異の結果に繋がっているのでしょう。

ファーストクラスバスは今後のトレンドになるか

今回試算してみて、
本当に良心的な価格で運行されているということが分かった「マイ・フローラ」
しかし、このビジネスモデルは他の土地でも活きそうな気がします。
特に、新幹線の駅から遠い地域
東京に移動するために新幹線を使おうと思っても
そのために2時間以上掛かって移動をするのであれば時間もコストも現実的ではありません。
必然的に競合は飛行機になってきますが、価格面でも、可処分活動時間を考えても、
マイ・フローラであれば十分に勝負できるでしょう。
四国の他県や、山陰、和歌山など近畿南部、近畿北部、山形、秋田など。

なにより、12人埋めさえすれば満席になるというのは、
少数のロイヤルカスタマーを相手にすることに注力できるので
人口の少ない地方でも十分成り立つのではないでしょうか。

ファーストクラスバス、今後広がっていくのかどうか。
一度ぜひ乗ってみたいものです。

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ABOUTこの記事をかいた人

クラハイト合同会社CEO  中小、ベンチャー、ひとりメーカー向けTIPS情報メディア「monotips」の編集長。ものづくりメーカーの経験を活かした、ベンチャー、中小、個人メーカー、企業の業務改善コンサルティングを行なう。株式会社ロンド工房のクリエイティブ・ディレクターとして、皮革製品、文房具、雑貨の企画、製造、販売も行なっている。