AmazonなどWEBショップ、モールでブランドをPRしたい時の落とし穴、「商標の標準文字制度」について



ものづくりメーカーや個人にとって、インターネットでの販売は重要なルートです。なかでも、Amazonは誰もが知っている最大のモールと言えるでしょう。誰でも簡単に販売ができるため、色々な問題も抱えてはいますが、利便性がそれを上回って普及しています。

Amazonセラーセントラルで始まった、ストアとブランド登録について

ある日、Amazonからのメールで「ストア」の機能を拡充するという連絡が来ました(まだ説明のサイト情報はなく、こちらのPDFでの案内だけです)。Amazon内での見え方も綺麗になるため、さっそく申し込もうと思ったのですがそのためには「ブランド登録」というものが必要です。
Amazonの「ブランド登録」
商標登録をしているブランドが必要ということだったので、自社のブランドで早速申し込みを行いました。

勢い込んで申し込んだは良いが…。

その後、Amazonより審査終了のメールが。今回は審査を通過できなかったようで…残念です。そのメールの中には、

大変恐れ入りますが、現時点では、新Amazonブランドの審査基準として、
「標準文字に対する登録商標番号のみ」受付しております。

「標準文字商標」とはなんぞや?という疑問が湧いたので色々と調べてみることにしました。

Amazonだけでなく、楽天などのブランド登録でも同じ理由ではねられているらしい

<標準文字制度とは>
 「標準文字」とは特許庁長官が指定する文字のことをいい(商標法5条3項)、「標準文字制度」とは、「標準文字」によって商標出願することができる制度をいいます。ここで重要なのは、「標準文字はフォントを問わない」ということではない!ということです。
実際には、標準文字といえどもフォントはあり、それは明朝体に似たフォントとなります。
 標準文字出願の制度は、わが国商標制度が先願主義を採用するため、従来、書体の決まらない段階でゴシック体等による文字商標の出願が多かった経緯から、便宜上定められたものです。

単なる文字商標での登録と異なり、標準文字商標独自のフォントなどが必要なようです。このあたりは出願時に弁理士に明確な意思表示をした方が良いでしょう。

そもそも、標準文字商標だと商標取得のハードルが上がる?調査を専門家に依頼すべき、審査機関の長さについて

標準文字で登録するということは、ロゴと比べて審査のハードルが高いことが予想されます。一般語に近い商標の場合や、既に権利者がいる場合など。メジャーな商標を見ていても、標準文字商標が登録されているブランドはとても少ないです。標準文字商標という制度自体が1996年に定められた制度なので、それ以前の商標には適用されていないことも理由です。

ちなみに、既存の商標はインターネットで簡単に検索できます。
J-PlatPat
標準文字商標が登録されている商標例

弁理士に依頼する際、商品を販売するなら覚えておいてほしい言葉!

こちらの弁理士さんのブログで、Amazonでの標準文字商標に対する問題が分析されています。

結論から言いますと、過去の出願・登録がない場合、あるいは出願・登録があっても商標が標準文字でない場合は、出願し直してください(新たに標準文字の出願をしてください)。それしか方法はありません。特に過去の出願(審査継続中)や登録(登録済み)がある方は、それを標準文字に変更するとか、その内容を追加するとかできないかとお尋ねになるんですが、できません。商標の内容は、一度出願したらいじれないと思ってください。他の選択肢を検討するだけ時間の無駄ですし、弊所にお問い合せいただいても「出願し直してください」としか答えようがないので、お互い無駄なやり取りは省略しましょう。

この事象で困っている弁理士さんも多いのですね…。相手は専門家ですので、相談をする=有料であるという前提でお話をすべきですし(医者の無料診察って怖いですよね?)、知財に関してはインターネット上にもたくさんの情報があがっていますので、メーカーであれば自ら知識を深めておくことが必要でしょう。

商標は、特にブランドを持つメーカーにとっては自分たちのビジネスを守るうえで大変重要ですので、ぜひ色々と調べてみたうえで、専門家にきちんとしたルートで相談をしてみましょう。

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クラハイト合同会社CEO  中小、ベンチャー、ひとりメーカー向けTIPS情報メディア「monotips」の編集長。ものづくりメーカーの経験を活かした、ベンチャー、中小、個人メーカー、企業の業務改善コンサルティングを行なう。株式会社ロンド工房のクリエイティブ・ディレクターとして、皮革製品、文房具、雑貨の企画、製造、販売も行なっている。