イントロダクション
新年度が始まり、名刺交換の機会が増える4月。「何をやっている人ですか?」と聞かれたとき、あなたはどう答えていますか。自己紹介ひとつで、その後の仕事の質も、出会うお客様の層も大きく変わります。
今回のmonotips stationでは2つのテーマをお届けします。1つ目は、しばっちが語る「理想のお客様を引き寄せる自己紹介」のチップス。行政書士として独立してから8年、「何でもできます」から「これしかできません」へと変わった自己紹介の進化と、その効果を実体験で語ります。2つ目は、あらかわの「AIに買い物を相談したら20万円を節約できた」チップス。パソコン購入の衝動をAIとの壁打ちで冷静に判断した話から、買い物だけでなくビジネスの意思決定にも使えるAI活用術を紹介します。
自己紹介という「言葉の技術」と、AIという「思考の補助輪」。どちらもビジネスの判断力を磨くヒントが詰まっています。
1. 理想のお客様を引き寄せる自己紹介のチップス — 「何でもできます」をやめたら仕事が変わった
1-1. 名刺交換の場で何を伝えるか
4月は新年度。交流会やビジネスイベントで名刺を交換する機会が増える時期です。行政書士として独立して7〜8年のしばっちが、自己紹介の失敗と改善を振り返ります。行政書士は業務範囲が広く、相手によって「何をしてくれる人か」のイメージがまったく違う職種。だからこそ、自己紹介の仕方が仕事の質を左右するといいます。
1-2. 2つの失敗から学んだこと
失敗1:「何でもできます」の罠
独立当初、仕事が欲しくて「何でもできます」と名乗っていたしばっち。確かに案件は来る。しかし、やったことのない分野の仕事は調べる時間ばかりかかり、時間単価に直すと驚くほど低くなります。しかも慣れている人と比べれば仕上がりも一段落ちる。行政書士の報酬は、その業務に習熟しスピーディーかつ正確にこなせるレベルに達した上での単価設定。慣れない仕事を受けることは、自分にとってもお客様にとっても不幸な結果を招きます。
失敗2:営業色を出したくない病
交流会でガツガツ営業している人を見て「ああはなりたくない」と思い、今度は必要以上に自己紹介で情報を出さなくなりました。「行政書士です」で終わり。相手は何ができる人なのかまったく分からず、記憶に残らない。「いい人だけど、仕事の相手としては選ばれない」という状態に陥ってしまったのです。
今の自己紹介:専門性を絞って伝える
現在は「建設業と外国人の就労サポートを専門にしている行政書士です。それ以外は分かりません」と伝えるようにしています。あえて「できない」と言い切ることで、逆に「そこは相当強いんだ」という専門家のイメージが生まれます。
「それ以外は分かりませんって言い切ったら、逆にそっちはすごく強いんだってイメージがつく」(しばっち)
名刺に得意分野を書いておくのも効果的。さらに「事務所名で検索してください」と一言添えれば、Google口コミが信頼の裏付けになります。しばっちは口コミの内容を一切指示せず「書いてください」とだけ依頼。だからこそ「これはうちの事務所の本当の評価です」と胸を張れるといいます。
1-3. 価値観フィルターで理想の顧客を引き寄せる
もうひとつしばっちが意識しているのが、「きちんとしたい人と仕事がしたい」というメッセージを自然に伝えること。目先の利益より長期的な視点に立てる人、正しい手続きでビジネスを進めたい人。現状が完璧でなくても「これからちゃんとしたい」と思っている人と組みたいと発信しています。
このフィルターが機能すると、「安く適当にとりあえず」というタイプのお客様は来なくなり、価値観を共有できる方だけが集まるようになります。断るストレスもなくなり、提案やアドバイスを受け入れてくれる関係が自然と生まれます。
1-4. まとめ:等身大の自分を正しく伝える
自己紹介で自分を大きく見せる必要はありません。大きすぎず小さすぎず、等身大の自分をきちんと伝えること。営業しようと身構えるのではなく、「私はこういう仕事が一番得意で好きなんです。ここなら誰にも負けません」と一つだけ伝えてみる。それだけで、ちょっといいことに繋がるかもしれません。
2. AIに買い物を相談したら20万円を節約できたチップス
2-1. スペック表を見るとドーパミンが出る問題
AIの技術的な話は別番組(AIloglog)に任せて、今回はライトなAI活用の話をするとあらかわ。ローカルでAIを動かすためにちょっといいパソコンが欲しくなり、Amazon新生活セールで20万円のミニPCに目をつけたところから話は始まります。弁当箱くらいの小さな筐体にハイスペックが詰まっていて、スペック表を見ているだけでテンションが上がる。しかし本当にそれが必要なのか。
2-2. AIとの壁打ちで購入判断が変わった
最初の相談:「何に使うの?」と返される
AIに「こういうパソコンが欲しい」と投げると、まず「あなたはそれを使って何がしたいんですか?」と聞き返してきます。用途を伝えると、オーバースペックだとか値段の割にスペックが合わないとか、的確なフィードバックが返ってくる。GPUの世代の違いやベンチマークの比較など、細かいスペックをテキストベースで比較させるのはAIの得意分野です。
トラップ:AIは煽ってくる
ただし注意点があります。3つくらいの製品を比較すると、「1番目が一番いいです、もうポチっちゃいましょう!」と購入を煽ってくるのです。GeminiでもClaudeでも同じ傾向があり、何度聞き直しても「やっぱりいいです、行っておきましょう」と背中を押してくる。
「AIに買い物を相談するときはトラップですよ。すごい煽ってくるから」(あらかわ)
結論:20万円のPCではなくドッキングステーションで解決
「実はこういうパソコンも持っている」と手持ちの環境を全部伝えたところ、AIの回答が一変。「じゃあ今のノートPCにドッキングステーションを繋げば解決するのでは?」という結論に落ち着きました。20万円の出費が数千円のハブで済んだのです。
2-3. 買い物以外にも使える「AI壁打ち」
パソコンだけでなく、家電(ドラム式洗濯乾燥機など)、車、ソフトウェアの導入判断など、スペックや条件が公開されているものの比較はAIが非常に得意です。しばっちも「freeeかMFか、やよいのNextにするか」といった会計ソフトの比較にAIを活用しているとのこと。
しばっちが指摘した重要なポイントは、「AIはこちらの意見を肯定しがち」ということ。「これ買いたいけどどう思う?」と聞けば、買う理由を並べてきます。対策として「否定的に評価してほしい」とプロンプトに入れると、今度はしっかりデメリットを指摘してくれます。プラスだけでなくマイナスも比較させることが、冷静な判断につながります。
2-4. まとめ:煽られない判断力を持つ
AIに買い物を相談する際のポイントは3つ。まず手持ちの環境や状況を全部伝えること。次に、複数の選択肢を比較させること。そして、AIの肯定バイアスに流されず、否定的な視点も求めること。AIは優秀な壁打ち相手ですが、最終判断は自分自身。煽られない判断力を持った上で活用すれば、無駄な出費を防ぎ、本当に必要なものだけを選べるようになります。
エピソードの総括
今回の学びとポイント
自己紹介も買い物も、共通するのは「自分が本当に必要なもの・伝えたいことを見極める」という姿勢です。しばっちは「何でもできます」から脱却して専門性を絞り、あらかわは衝動買いからAI壁打ちで冷静な判断へ。どちらも「引き算」と「冷静さ」がカギになっています。
押さえておきたいポイント
- 自己紹介は「何でもできます」より「これが得意、それ以外は分かりません」が効く
- 営業色を出さなさすぎても記憶に残らない — 等身大の専門性を一つだけ伝える
- AIに買い物相談するときは手持ちの環境を全部伝えて、否定的な視点も求める
- スペック比較・ソフト選定・投資判断など、テキストベースの情報比較はAIの得意分野
あらかわ・しばっちからのメッセージ
エンディングでは、あらかわが「自分はホームページ屋さんと名乗っている」と告白。深い案件は長い信頼関係の上に成り立つもので、ライトな自己紹介から人となりを知ってもらい、そこから仕事に繋がっていくスタイル。しばっちの「専門性を絞る」アプローチとあらかわの「人間関係から入る」アプローチ、正解は一つではなく自分のフェーズや業種に合った形を見つけることが大切です。
次のステップ
今日誰かに会ったら、営業しようと身構えず「私はこういう仕事が一番得意で好きなんです」と一つだけ伝えてみてください。そして次に大きな買い物を検討するときは、AIに相談してみましょう。ただし「否定的に評価して」と一言添えるのをお忘れなく。
monotips stationについて
monotips stationは、ビジネスの小ワザを紹介するWebマガジン「monotips」から生まれたPodcastです。編集長・あらかわと副編集長・しばっちが、毎週あなたのビジネスがちょっとよくなるチップスをお届けしています。
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