自分だけのNo.1を作る6ステップ&AIがじわじわ人間を壊してる話|monotips station 第312回
イントロダクション
収録日2026年5月15日、放送日5月20日のmonotips station 第312回。放送翌日の5月21日はしばっちの誕生日。「これを聞いているリスナーさんはぜひしばはら行政書士事務所のLINEに『おめでとうございます』と入れてください」というしばっちのさりげない告知から始まりました。
近況トークは2本。しばっちは「事務所をきれいにしていくと仕事がはかどる」話。書類の電子化・ものを減らすという取り組みを進めた結果、探す時間が消えて好循環が生まれたとのこと。あらかわはそこに「片付けという地味な名前がいけない。もっとかっこいい名前——そう、ルームデザイン——にしようよ」と提唱。一方あらかわの近況は、夜の涼しい時間に嫁さんとコンビニまで散歩するのが気持ちいい、という5月らしいライトな話でした。
今回の2テーマはどちらも「自分の頭でどう考えるか」という問いにつながります。しばっちパートは前回のランチェスター戦略を応用した「No.1の作り方6ステップ」。あらかわパートは「AIゾンビ化」と「AI Slop」の2本の海外記事から、AIと人間の思考力の関係を問いかけます。
1. 小さくてもいい——自分だけのNo.1を目指す6ステップ
1-1. なぜどうしてもNo.1でなければならないのか
しばっちが今回問うのは「あなたのビジネスは何かの分野でNo.1ですか?」という一問。尻込みしてしまいがちですが、その理由はシンプルです。
「嫌われるより知られないほうが残酷ですからね」(しばっち)
日本一高い山は富士山。では2番目は? しばっちに「北岳でしょ」とすぐ返したあらかわも珍しい部類で、たいていはパッと出てこない。ビジネスも同じです。お客さんが困ったとき、頭に最初に浮かばなければ問い合わせすら来ない。同業からの紹介(パス)も「この分野ならあいつが一番詳しい」というNo.1のタグがなければ回ってこない。
「ナンバーワン以外は弱者」——だとすれば、世の中のほとんどは弱者です。だからこそ弱者が自分で勝てる土俵を作っていくのが大事だとしばっちは言います。
1-2. 弱者が目指す「正しいNo.1」の6ステップ
ランチェスター戦略の核心は「局地戦」。範囲を絞れば誰でもNo.1になれます。しばっちが整理した6ステップがこちら。
ステップ① 規模で勝負しない
売上No.1・顧客数No.1は強者の戦略。豊富なリソースがなければ疲弊するだけです。
ステップ② 土俵を限りなく細かく切る(局地戦)
絞れば絞るほどNo.1に近づきます。「家族の中でのNo.1」はさすがに極端ですが、それくらい絞り込む発想が大事。
ステップ③ 地域で絞り込む
「日本」では厳しければ「関西」、それでも厳しければ「兵庫県」→「西宮市」。地区大会・県大会・全国大会という階層で考えると、自分が勝てるレベルを見つけやすくなります。
ステップ④ 業種で絞り込む
「何でもやります」から「○○専門」へ。専門化するほど名前が覚えられやすくなります。
ステップ⑤ 規模で絞り込む
「大企業専門」「中小企業専門」「10人以下の会社専門」——客の規模を絞ることで、その層のリアルな悩みに深く刺さるようになります。
ステップ⑥ スタンスで絞り込む
「安さ」ではなく「お金よりきちんとした仕事をしてほしいと思う経営者さんへ」——スタンスを打ち出すと、自然に理想の客層が集まってきます。
1-3. 掛け算で誰もいない独自ポジションを作る
6ステップを個別に適用するだけでなく、「掛け算」で組み合わせるとさらに効果的です。
あらかわは「自分の出身業界の知識×IT・AI活用の知識」という2軸の掛け算で「その組み合わせは自分しかいない」という状態に近づいています。
しばっちの場合は:行政書士 ×(補助金・資金繰りに強い)×(お金よりきちんとしたい哲学)×(ボードゲームで経営を語れるMG研修)。そこに地域・規模・業種を重ねていくと——
「兵庫県の西宮市で従業員10人以下の建設業を専門ですぐらい言ったら、だいぶ絞られてくる、1位になれるんじゃないか」(しばっち)
「あなたしかいない」という状態が、競争のない状態を生みます。ニーズがそこにあれば、理想のお客さんがピンポイントで問い合わせしてくれるようになる——それが弱者戦略のゴールです。
1-4. 今日から始める一歩
- 自分の「掛け算の軸」を3つ書き出す(業種・地域・規模・スタンス・得意技・価値観)
- 「これを組み合わせているのは自分しかいない」という状態に近い組み合わせを1つ選ぶ
- その絞り込みを肩書きや自己紹介に反映してみる
2. AIがじわじわ人間を壊してる話
2-1. 今回のスタイル——海外記事2本の読書感想文
あらかわが「いつもと違うスタイル」として紹介したのは、最近読んで考えさせられた英語記事2本です。
記事①:「The Great Zombification」(The New Critic)
著者Owen Yingling(シカゴ大学の哲学専攻学生、21歳)。
記事②:「AI Slop Is Killing Online Communities」
著者Robin Moffatt。
どちらも「AIを使うな」という話ではありません。あらかわも「これは大学だけの話じゃない、コミュニティだけの話じゃない」と感じた内容です。
2-2. 記事① 大学のAIゾンビ化——思考プロセスの外注が生む空洞
UCLAの卒業式でAI利用を堂々と示した学生が拍手喝采で迎えられた——そんな光景が話題になった。シカゴ大学では統計の試験中に携帯で問題を撮影してLLMに送り、返ってきた答えをそのままコピーする行為が横行した。学校新聞が数ヶ月間、AI生成の記事を掲載し続けていたことも発覚した——。
記事の中に「魔法の耳飾り」という比喩が出てきます。
「常に正しい助言をくれる耳飾りがあったとしよう。最初は大きな決断のときだけ頼る。でもやがて、日常のあらゆる判断も聞くようになる。最終的には、自分の筋肉を動かすことすら耳飾りの指示を仰ぐようになる」
最初は宿題、次にメール、最後は恋愛相談まで——AIへの依存が拡大していく経路です。
「AIゾンビだ僕はと思って」(あらかわ、LINEの返信にAIを使う自分に気づいて)
問題は「不正行為が増えた」ことではなく、「考えるプロセスをAIに丸投げすることで、思考能力そのものが萎縮していく」こと。知識を調べる・論文を書くといった「結果を得る手段としてAIを使う」のと、「考えるプロセスをAIに任せる」のは、まったく別の話です。
2-3. 記事② AI Slopがオンラインコミュニティを壊している
「AI Slop(AIスロップ)」——AIが生み出す低品質コンテンツのことを指す言葉です。
記事の核心はBrandoliniの法則の応用です。「嘘を否定するのに必要なエネルギーは、それを生産するエネルギーの何十倍もかかる」という法則が、コンテンツの世界に当てはまります。低品質なAI生成コンテンツを1個作るのは5秒。でも、それが本当に価値があるかを読んで判断するには、その何十倍もの時間がかかる。
フォーラムも、SNSも、ニュースレターも、「作るコストと検証コストの非対称性」が極端に広がっているというわけです。
一方で著者が「良い使い方」として紹介するのが、オープンソースのApache Parquetパーサー「Hardwood」のプロジェクト。4ヶ月かけて開発プロセス全体にAIを使いながら、思考・判断・検証はすべて人間がやっている。「AIで作られた」のではなく「AIとともに作られた」——この区別が重要だと言います。
2-4. あらかわの結論——一億総社長社会
「どこまで任せて何を自分は判断するかっていうことを常に考え続けないとこのAI時代は生きていけない」(あらかわ)
しかしあらかわは単純な批判には終わりません。「ビジネスのメールをAIに相談するのは秘書に頼むのとどう違うのか」という問いも立てます。その上で自分の整理はこう。
- 調べること・まとめること・フォーマットを整えること → AIに任せていい
- 何が問題かを見つけること・判断すること・相手に伝えること → 自分でやる
自分の前提知識や感性を磨いた上でAIに頼むと精度が上がる。AIは「可視化のパートナー」として使う。そのスタンスが持てるかどうかが、AIゾンビになるかどうかの分岐点だというのがあらかわの見立てです。
「一億総社長社会になった。みんながマネージャーや社長になった気持ちでAIをどう使うかを考えると変わってくる」(あらかわ)
エピソードの総括
今回の学びとポイント
押さえておきたいポイント
– No.1になれない市場では存在しないのと同じ。「嫌われるより知られないほうが残酷」
– 土俵を絞れば誰でもNo.1になれる。地域×業種×規模×スタンスの組み合わせで「自分しかいない」状態を作る
– 掛け算でユニークポジション。1軸では難しくても、3〜4軸を掛け合わせると競争のない場所が生まれる
– AIゾンビとの境界線:結果を得る手段としてAIを使うのと、考えるプロセスを丸投げするのは別物
– 一億総社長社会:調べる・まとめる→AI、判断・責任→自分、というスタンスが問われる時代
あらかわ・しばっちからのメッセージ
ランチェスター戦略もAI活用論も、根っこは同じ問いに収束します——「自分はどこに頭とエネルギーを使うのか」。土俵を絞ることで集中が生まれ、AIに任せる範囲を決めることで人間の思考が守られる。どちらも「やらないことを決める」という意思決定から始まります。
次のステップ
- 「自分の掛け算の軸」を3つ書き出し、No.1になれる組み合わせを探してみる
- 最近AIに相談していることを書き出し、「結果取得」か「思考丸投げ」かに分類してみる
- 「調べる・まとめる → AI、判断・責任 → 自分」のスタンスを職場や家族に宣言してみる
monotips stationについて
monotips station は、ビジネスの小ワザメディア「monotips」から生まれたPodcastです。編集長・あらかわと副編集長・しばっちが、毎週あなたのビジネスがちょっと良くなるTIPSを2テーマずつお届けします。
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