思考の先にある「プロの境界線」とは?1万時間の法則と性格診断の活用術



イントロダクション

2026年1月28日。記録的な寒波が日本中を覆う中、今週の「monotips station」は熱い議論から幕を開けました。編集長のあらかわが最近直面した「中学生になる子供への手帳教育」という身近な話題から、話は「プロフェッショナルの境界線」という深淵なテーマへと発展します。

今回のメインテーマは、**「1万時間の法則の先にある創造性」と、しばっちが体験した「HRパーソナル診断から見るアルゴリズムとの付き合い方」**です。

単なるスキルの習得に留まらず、いかにして「考えずとも体が動く」レベルに達し、その余力を創造性に振り向けるか。ビジネスの現場でも即応用できる、本質的な知見をお届けします。


1. 考えすぎては遅すぎる?プロの境界線と「1万時間の法則」

1-1. レゴプロビルダー三井淳平氏の言葉から

あらかわが今回紹介したのは、世界にわずか24人しかいない「レゴ認定プロビルダー」の一人、三井淳平氏のポストです。東大在学中にタイトルの通りレゴを極め、現在はボストン美術館に作品が展示されるほどのアーティストである三井氏が語った「プロの視点」が、議論の出発点となりました。

1-2. 「無意識化」が創造性を解き放つ

プロとアマチュアを分ける決定的な要素はどこにあるのでしょうか。あらかわは三井氏のドローイング(素描)の授業でのエピソードを引用し、その核心に迫ります。

構図を作るのがプロ、形を追うのがアマ

三井氏によれば、レゴで作品を作る際、プロは「どう形にするか」で悩みません。それはすでに無意識化された技術だからです。プロが本当に時間を割くのは「構図(コンポジション)」であり、見る人をどう感動させるかという本質的な設計にエネルギーを注ぎます。

1万時間のトレーニングがもたらす自由

いわゆる「1万時間の法則」は、単に技術を習得するための時間ではありません。あらかわは、技術を「無意識」の領域にまで落とし込むために必要な時間だと定義します。

ここで、1万時間に到達するための計算を整理してみましょう。

  • 毎日3時間(副業・趣味ペース) の場合:約 9.1年

  • 毎日8時間(本業ペース) の場合:約 3.4年

つまり、石の上にも三年という言葉通り、本業として約4年集中して取り組むことで、ようやく「考えずに動ける」プロの入り口に立てるのです。

守・破・離のプロセス

基礎(守)を徹底し、それを無意識にこなせるようになって初めて、自分のアイデアを盛り込み(破)、型から離れる(離)ことが可能になります。この「守」のプロセスをショートカットして「離」を目指そうとすると、基礎的な部分で脳のリソースを消費してしまい、真にクリエイティブな思考ができなくなるとあらかわは警告します。

「考えずに動けるようになって、初めてクリエイティブな仕事ができるようになる」(あらかわ)

1-3. ビジネスにおける実践アドバイス

この考え方は、ビジネスのあらゆる場面に応用可能です。例えば資料作成やプログラミングにおいて、ツール操作や構文で迷っているうちは、本当に重要な「戦略」や「構造」に集中できていない証拠です。

まずは自分の専門領域における基本動作を、呼吸をするようにこなせるまで反復すること。AI時代だからこそ、人間が「最後の一押し」の感性を発揮するために、この土台作りが重要になります。


2. 性格診断の結果をどう扱うか?HRパーソナル診断とアルゴリズム

2-1. 5年経っても変わらない「自分の特性」

しばっちは最近、所属するグループの集まりで「HRパーソナル診断(EGストレングス)」を受診しました。驚くべきことに、2018年に受診した結果と今回の結果がほぼ一致していたといいます。しばっちの特性は「社交性」と「創造性」が極めて高いという結果でした。

2-2. 統計学というアルゴリズムの裏側

しばっちは、性格診断そのものの結果よりも、その「裏側にあるロジック」に強い関心を示します。

理想の自分を回答していないか?

診断ツールは、多数の質問への回答を統計的に処理し、個人の特性を算出します。しかし、しばっちは「今の自分」ではなく「ありたい理想の自分」として回答してしまうバイアス(偏り)の存在を指摘します。その上で、数年の時を経ても結果が安定しているということは、ある程度の信憑性があるのではないかと分析しています。

アルゴリズムへの違和感と信頼

生年月日や血液型といった「努力で変えられない要素」で決めつけられる占い的なアプローチに対し、しばっちは否定的な立場を取ります。一方で、膨大なデータに基づいた統計学的なアプローチは、組織運営や自己理解の「参考」としては非常に有用であると語ります。

「診断結果は参考にはなるが、信じすぎて目の前の人を見るのを忘れてはいけない」(しばっち)

2-3. 組織における診断ツールの正しい使い方

診断ツールを導入する最大のメリットは、メンバー間の「特性の共通言語化」にあります。

「あの人は〇〇の特性が強いから、こういうコミュニケーションを好む」という予測が立てやすくなることで、組織の摩擦を減らすことができます。

しかし、注意点もあります。人を「記号」として処理し始めると、その人の多面的な魅力や可能性を摘み取ってしまうリスクがあります。診断はあくまで「入り口」であり、最終的には目の前の相手と直接向き合い、対話することが不可欠です。


エピソードの総括

今回の学びとポイント

今回の2つのテーマに共通するのは、**「型やツールを使いこなしつつ、その先にある本質を見据える」**という姿勢です。

押さえておきたいポイント

  • プロの創造性:基礎技術を無意識化することで、脳のリソースを「構図」や「本質」に振り向ける。

  • 1万時間の本質:単なる習得時間ではなく、スキルを「無意識の領域」へ移行させるための修行期間。

  • 診断ツールの活用法:統計学的なデータは組織の潤滑油として活用しつつ、個人の「記号化」には注意する。

  • 目の前の対話:アルゴリズムによる分析を超えて、最終的には人としての実感を大切にする。

あらかわ・しばっちからのメッセージ

あらかわの「1万時間の法則」としばっちの「性格診断」の議論は、最終的に「自分自身の棚卸し」の重要性へと帰結しました。

40代を迎えた二人は、これまでに積み上げてきた「無意識のスキル」を改めて意識化し、それをどう掛け合わせて新しい価値を生むかというステージに立っています。

リスナーの皆さんも、今一度「自分があまり考えずにできていることは何か」を振り返ってみてはいかがでしょうか。それがあなたの「プロとしての武器」かもしれません。


monotips stationについて

「monotips station」は、ビジネスの知恵(tips)を対話形式でお届けするポッドキャスト番組です。編集長のあらかわと副編集長のしばっちが、日々の気づきからビジネスの本質を軽妙に、かつ鋭く深掘りします。

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ABOUTこの記事をかいた人

クラハイト合同会社CEO  中小、ベンチャー、ひとりメーカー向けTIPS情報メディア「monotips」の編集長。ものづくりメーカーの経験を活かした、ベンチャー、中小、個人メーカー、企業の業務改善コンサルティングを行なう。株式会社ロンド工房のクリエイティブ・ディレクターとして、皮革製品、文房具、雑貨の企画、製造、販売も行なっている。