法人成りする?フリーランスや個人事業主の判断基準。副業での会社設立についての注意点もあり。



最近よく質問されるので、個人的な見解をまとめておきます。

実は日本は隠れた起業家大国?

働き方改革や副業が推奨されるなど、仕事と私たちの距離感が変化してきています。
「起業」というと日本人にはハードルが高いというデータが出ていますが、


2 起業の実態の国際比較 – 中小企業庁

この統計における「開業」には、個人事業は含まれないという特徴があります。

雇用保険事業年報をもとにした開廃業率は、事業所における雇用関係の成立、消滅をそれぞれ開廃業とみなしている。そのため、企業単位での開廃業を確認出来ない、雇用者が存在しない、例えば事業主1人での開業の実態は把握できないという特徴があるものの、毎年実施されており、「日本再興戦略2016」(2016年6月2日閣議決定)でも、開廃業率のKPIとして用いられているため、本分析では当該指標を用いる。

つまり、雇用を生んでいる事業のみを対象としているのです。事業をスタートさせるときは一人で行うことが多いと推察されるので、これは一般的に捉えられる「起業」実態よりもかなりハードルの高い条件となっています。

一方で、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の「フリーランス白書2018」によると、日本では現在1000万人以上、労働人口の6人に1人がフリーランサーとして働いていると言われています(資料自体は厚生労働省のサイトにあります)。
フリーランスで働くということは、雇用関係ではなく請負契約にて業務を行うことを指しています。専業フリーランスだけではなく、雇用関係を持ちながらスキマ時間で業務を行う副業フリーランスも数多くおり、それらも広い意味では起業と言えます。統計と定義次第ですが、実は日本も雇用関係だけではない隠れた起業家大国と言えるのかもしれません。

法人化のメリットデメリットはあるが、まず「主業は何か」を考えるべき

‪個人事業主が法人化するメリット・デメリットとはどんなもの? | クラウド会計ソフト freee

‪法人成りすることの5つのデメリットまとめ!個人的には個人事業を株式会社化することが節税になるのか、疑問で仕方ありません。 – クレジットカードの読みもの

このあたり、とても良くまとまっています。

法人化、法人成りするかどうかの検討材料として「その事業が自分にとって主業であるかどうか」というポイントが大切になります。具体的な事例では、個人事業主の法人成りとサラリーマンの副業のための会社を持つという選択では、検討すべきポイントが異なります。

主業の法人成りを検討する場合、年商1千万未満で個人の信用でも十分に仕事が回っているなら、消費税の免税対象事業者の2年間猶予が関係ないので特に法人化するメリットは無いように感じています。規模を拡大したり、取引先を増やしたり、雇用をしようとすると法人化することで信用(印象)は大きく上がりますが、そうではなくフリーランスとしてこじんまりと自分が食べていくだけ、というのであれば、法人の維持費を払うだけの機能的メリットはあまりありません。最も小規模と想定される、合同会社をレンタルオフィスで安く立ち上げたとしても、年間30万円程度は維持費で必要になります。そして法人化した場合記帳を行う必要も出てくるので、税理士への依頼費用、及び自分で行うなら事務諸経費として自分の稼働時間というコストも余分に支払うことになります。

消費税の免税事業者についてはこちらで確認できます。
消費税の納税を免除される「免税事業者」とは? – 経営ハッカー | 「経営 × テクノロジー」の最先端を切り拓くメディア 因みに、免税業者(免税事業者)であっても仕入れの際に消費税を払っていますので、請求の際に消費税を取引先に請求するのは通常の行為です。あくまでも事務負担の問題であり、純粋な免税ではないということは認識しておくべきでしょう。

一方で、主業がサラリーマンで副業について検討する場合は、下記のポイントを踏まえて検討してみてください。

信用

副業としてスタートさせるのであればサラリーマンの名刺は使えません。2枚目の個人名での名刺を持つ方も多いですが、取引相手が企業の場合は個人だと取引ができない場合もあります。そして、法人化による営業力の向上も期待できます。特定の仕事が得意なだけの個人と、それを主業とする法人ではクロージングに至るまでのスピードが違います。

家計と事業資金の区分

副業でも経費を使うことは可能ですが、法人と比べると範囲は狭まります。

‪副業で経費は認められる?副業の経費について | クラウド会計ソフト freee

また、給与所得と事業資金が入ってくることになり、きちんと管理していないと家計とごちゃごちゃになる可能性もあります。このあたりは法人化することですっきり解決できる可能性があります。

注意 副業を制限すること自体は法律で制限されていることではないので、もちろん主業の勤務先に対しての報告や主業とバッティングしないという信頼関係を築くことは重要です

‪サラリーマンは副業しちゃダメなのか?〜禁止の法律的な理由からバレれない方法の考察まで〜

法人化して役員報酬を得ると、社会保険の分割で会社にバレる?

こっそり起業で法人化をするとぶち当たる問題です。
副業の場合複数の法人から給与を得ることになりますが、
その際、会社役員は社会保険への加入する義務が発生します。

https://bizer.jp/bizer/archives/5803

この「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を届出したことにより、今の会社の社会保険料が変更されることがあったときには、会社に副業していることがバレてしまうというケースもあります。

こっそり起業を行う場合は、役員報酬をゼロにするか、配偶者を代表にするか、などの対策が必要になります。おおっぴらにできない場合は、個人事業主の方が良いかもしれません。

まとめ。箱を作ることで決まる覚悟もある

法人を作るということは、法律上ひとりの「人」を誕生させることになります。心理的な影響も大きく、所属する、もしくは運営する箱・器が生まれることによるポジティブな影響は発生します。すこしメンタルの話になりますが「覚悟が決まる」ことで、主業でも副業でも一所懸命に取り組むようになります。逆に言うと、小銭稼ぎやこっそりやりたい程度の仕事なら法人にする必要もないでしょう。
やりたいことがぼんやりとあるなら、まず法人化するための事業計画や定款作りなどを行なってみてテンションを上げてみると良いでしょう。WEBで無料で行うこともできます。

その上で実際どのような形態で取り組むかは、論点を整理するために地元の商工会議所などに相談してみることをおすすめします。

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ABOUTこの記事をかいた人

クラハイト合同会社CEO  中小、ベンチャー、ひとりメーカー向けTIPS情報メディア「monotips」の編集長。ものづくりメーカーの経験を活かした、ベンチャー、中小、個人メーカー、企業の業務改善コンサルティングを行なう。株式会社ロンド工房のクリエイティブ・ディレクターとして、皮革製品、文房具、雑貨の企画、製造、販売も行なっている。